潤愛!?蓮愛!?

怖くて動けなかった身体が今度は目の前のスーツの男の人に見とれて動けなくなってしまった。

「だ...大丈夫です?」
返事を返そうとしたら疑問形になってしまった。

「君、痴漢を捕まえようと試みる勇気は認めるが、取り逃がし、自分が被害を受けるとは呆れるね。どこの会社の人間なんだか...ん?そのバッジは...。」
スーツの人は私の胸につけてある会社のバッジを見ている。
「君、もしかしてうちの社の社員か!?」
「えっ!?」
「はぁ...うちの会社も堕ちたものだ。君のような社員を採用していたとは...外見も大事だが、それ以上に中身が大事だと言ってあるのに...はぁ。」
スーツの人はボソッとため息まじりに、私に向かって言った。
『なんなの、この人!!助けてくれたんぢゃなかったの!?』
「あの、助けていただいてありがとうございます。失礼ですが「次は×○駅。お降りの方は...」」

アナウンスに遮られてしまった。
それと同時に周りも動き始め、スーツの人は人込みの中に見えなくなってしまった。
「先輩、大丈夫ですか。」
「あっ、うん。私この駅だから、ぢゃあね。また見かけたら声かけてね!それと痴漢には気をつけて?」
「はい!先輩、ありがとうございました。」






麻衣ちゃんと別れ会社まで急いだ。