君の隣~番外編~

入口から少し離れたところに車を止める。


「傘、邪魔かな?」


「アーケードすぐそこにあるし、里穂走れるか?」


「うん」


同時に車を下りて里穂が先に走り出し、俺も車の鍵をかけてすぐにあとを追った。


「きゃっ!」


「あぶねっ」


あーあ、やると思った。


アーケードに入ってすぐ、里穂が濡れていた床に滑って転びそうになる。


それを慌てて支えて、ホッと息をついた。


「たく、やると思った」


「失礼な」


「あのな、雨なのにそんなヒールのブーツ履いてるから悪いんだろ」


「だって、このブーツ気に入ってるんだもん」


そう言って上目づかいで俺を見てくる。