君の隣~番外編~

「ねえ、修斗」


『ん?』


その夜、修斗から電話がかかってきた。


「私ね、就職しないといけないの」


ベランダに出て、ほんの少しだけ冷たくなった風に身をゆだねる。


『就職って、まだ大学卒業するまでに1年半あるじゃん』


電話の向こうから、修斗のびっくりした声がする。


「だって、就職活動って、今からしないといけないんだって」


『へー』


「あのね、修斗」


『ん?』


「私、資格取ることばっかに気を取られて、就職のこと何にも考えてなかったの」


『うん』


「だから、急に就職って言われて、どうしようって」


修斗は、静かに私の話に耳を傾けてくれた。