「俺以外に、お願いって言うなよ」


「どうして?前も修斗にそんなこと言われた気がする」


「どうしても。里穂のお願い叶えてやるのは、俺だけで十分なんだよ」


「ははっ、そっか。修斗が私のお願い叶えてくれるもんね。他の人にお願いって言わなくてもいいんだ」


首を上に向けた里穂と、バチッと目が合う。


その瞬間、里穂がニパッと笑った。


「前向いてろ」


やべぇ、今の笑顔は反則だろ。


照れてる顔を見られないように、里穂の頭を前に向ける。


「ほら、終わったぞ」


「ありがとう」


里穂の髪は長いから、乾かすのに案外時間がかかる。


時計の針は、すでに12時を回ってる。


「寝るか、里穂?」


「うん」