「なにが?」


俺の呟きに、里穂が反応する。


「なんでもないよ」


ポンポンと里穂の頭をなでて、またカレーを食べ始めた。


「修斗、やって」


お風呂を出た後、里穂が俺にドライヤーを差し出してくる。


「自分でやれよ」


「だって、修斗がやってくれると気持ちいいから。お願い」


俺はこのお願いに弱い。


「しょうがないな」


俺の前に座らせて、里穂の髪を乾かす。


結構前、里穂がテレビに夢中でなかなか髪を乾かさないから、後ろから俺がドライヤーを当ててやったことがあった。


それ以来、里穂はこうして俺にお願いしてくる。


「なあ、里穂」


「ん?」