「まあ、それはないか。ちゃんと里穂に、俺のもんだって印つけといたんでしょ?」


「はあ?」


「指輪。里穂が電話で嬉しそうに話してくれたよ。まあ里穂は、それが男除けだとは思ってないみたいだけど」


「たく、里穂のやつベラベラと」


指輪って、今年の初めの成人式のときに里穂に渡したもの。


将来の約束と、それとまあ高橋の言うとおり男除け。


今は6月だから、里穂の大学生活も残り1年半と少し。


変な男に絡まれることなく、無事に卒業して欲しい。


里穂は天然でふわふわしていて、どこの男が寄ってくるか分からない。


だから、変な男がつかないようにってあの指輪を渡したんだけどな。


やっぱり、ネックレスにしたのがいけなかったか。


「修斗君ってさ」


「なんだよ」


「実は余裕なんてないよね」


高橋にそう言われて、何も言葉が出て来ない。