「そうだな」


ただでさえ広い大学に、今日は人が溢れていて、楽しげな音楽が流れている。


「やっぱ、大学の場所がいいよね。駅の近くにあるし」


「そうかもな」


駅から歩いてこの大学まで、12~3分ってとこか。


駅と大学の中間点くらいに、今里穂が住んでるアパートがある。


「あっ、もしかして里穂?」


高橋の指差した方向に目を向けると、久しぶりに見る里穂の姿があった。


「里穂カワイイ。今日おだんごじゃん」


いつもは下ろしている髪を、今日は頭の高い位置でおだんごにまとめている。


「どうよ、修斗君。久しぶりに見る里穂は」


「どうよって言われても・・・」


「カワイイとか思ったんでしょ?」


「別に・・・」


そう言って高橋の視線から逃げるように目をそらす。