ここ1週間、凱斗と果穂が俺の膝上を取り合い、里穂に喧嘩の仲裁をされる日々が続いている。


理由は簡単で、明日から俺がシーズン開幕前のトレーニングで、2週間オーストリアに遠征に出かけるから。


俺と離れ離れになるのが寂しいらしく、ここ最近は凱斗も果穂も俺にベッタリと甘えてくる。


まあ兄妹喧嘩はよくないけど、甘えてきてくれるのは正直嬉しい。


俺は今シーズン、2年間過ごしたイングランドのチームを離れ、ドイツのリーグに戻って来た。


所属先はもちろんボアシルで、シーズンが始まるのを今か今かと楽しみにしている。


子供たちも5歳になり、毎日楽しそうに過ごしている。


「ねえねえ、お父さん」


「なんだ?」


「私もお父さんと一緒にトレーニング行く!」


そう言って果穂が、ぎゅーっと俺に抱きついてくる。


「俺も俺も!」


凱斗もそれに同調して、ぎゅーっと抱きついてくる。


「一緒に行きたいか?」


くっつき虫のように俺から離れない二人にそう聞くと、目をキラキラさせながらうなずいてきた。