「いいよ、おいで。果穂、もうちょっとこっち来てな」


「ヤダ。お父さんは私のだもん」


果穂を膝の真ん中から片足の方に移動させようとすると、イヤイヤと首を横に振られる。


「お父さんは果穂のじゃない。お父さんは俺の!」


「違う!私の!」


「俺のだって!」


そして始まる兄妹喧嘩。


「二人とも、そうやって喧嘩すると、お父さん抱っこしてくれないよ?」


でもすぐに、リビングに入ってきた里穂のその一言で、喧嘩は終了。


「凱斗、ごめんね。ここ、座っていいよ」


「うん。俺もごめん」


果穂が俺の膝の半分のスペースに移動すると、空いたところに凱斗が座り込んでくる。


そして二人で仲良く俺の膝の中で、DVDを見始めた。


「いいな~お父さんは人気者で」


そう言って笑いながら、里穂はキッチンに入り夕ご飯の支度を始める。