でも、この天然無自覚バカップルが悪いのよ。


まあ最初から半分は、私がけしかけたようなもんだけど。


「やっぱり、修斗って大きいね。私が着るとブカブカ。でも、あったかい」


あっ、修斗君、今の里穂の一言で撃沈した。


「飲み物買ってくる。高橋は何がいい?」


気分を変えるためか、そう言って席を立つ修斗君。


「ふふっ。彼女より先に聞いちゃっていいの?」


「里穂はこの時期、温かいカフェオレって決まってんだよ。で、なんにするんだ?」


「じゃあ、里穂と同じので」


「了解」


そう言うと修斗君は、吉井君を連れて教室を出て行った。


「修斗、もうすぐ授業始まるのにね。飲み物なんて飲んでる時間ないと思うんだけど」


「すぐに戻ってくるわよ。てか、やっぱり修斗君って、里穂の好み把握してるんだ」


このバカップルの甘さに当たらないためには、からかわないで放置しておくのが一番だって分かってるんだけどね。


でもいじらずにはいられないから、許してね、里穂、修斗君。




……END