「とりあえず、これかけてろよ」


そう言って修斗君はカバンから部活用のジャージを取り出し、里穂の肩にふわっとかける。


「ありがと、修斗。あったかい」


「ん」


嬉しそうに笑う里穂に、修斗君も満足そうにうなずく。


「なんか私、口の中に砂糖放り込まれた気分なんだけど」


「俺も」


吉井君が苦笑いを浮かべながら、私の言葉に同意してくれる。


ああもう、幸せオーラ振りまいちゃって。


「ねえ、里穂。ちょっと立ってみて」


ちょっとだけ意地悪したくなった私は、里穂にそう声をかける。


「いいけど。なんで?」


不思議そうな顔をしている里穂だけど、素直に立ってくれた。


「それでね、ジャージのファスナー閉めてみて?」


「えっ?うん、分かった」