君の隣~番外編~

里穂の後ろで、同じサッカー部の吉井君と話をしていた修斗君に声をかけると、「俺に言われても」的な顔をされた。


そんな修斗君の表情は全く気にせず、クルッと体の後ろに向けた里穂は、修斗君に自分の手を差し出す。


「修斗、手」


「手?」


里穂の言葉に不思議そうな顔をしながらも、手を差し出す修斗君。


その手を里穂は、ギュッと握った。


「相変わらず冷たいな、お前の手」


そう言った修斗君は里穂の手の冷たさに驚くことなく、今度は自分から里穂の手を包み込むように握りなおした。


「なんか修斗君、里穂の手の冷たさに慣れてるね」


「別にそんなことないけど」


「あっ、そっか。毎日里穂と手つないで帰ってれば、慣れるか」


そう言うと、修斗君の席のところに立っていた吉井君が、「ぷっ」と噴き出した。


「当たってるね、それ」


「でしょ~」


「お前ら、からかってんじゃねえよ」