里穂と里穂の母さんは、基本的にはすごく仲がいい。


でも勉強に関しては里穂の母さんは厳しく、たまにこうして二人は衝突してる。


そして喧嘩に耐えきれなくなると、こうして里穂は俺の家に逃げてくる。


「修斗~」


「ん。里穂は頑張ってる。ちゃんとやってる。だから大学もちゃんと受かる」


「ほんと?」


「ああ。だから今日はもう寝ろ」


そう言って頬に残った涙を、そっと拭った。


「勉強……」


「今日くらいサボったって大丈夫だろ。だから、なっ」


「うん」


里穂の手が、俺の胸元の服をぎゅっと握る。


「起きたらちゃんと家に戻るね」


「ああ」


ゆっくりとゆっくりと、里穂の頭をなでる。