「里穂」


そう声をかけて、里穂と目線を合わせるようにしゃがみ込んだ修斗君。


その声に、里穂はゆっくりと顔を修斗君の方に向けた。


私の声には顔を上げなかったのに、修斗君の声には反応するのね~って思いながら、里穂の前にある自分の席に座る。


「大丈夫か?」


「ん、暑い」


「飲めるか?」


そう言って修斗君は里穂にスポエネを差し出すも、里穂は弱々しく首を横に振る。


そんな里穂にため息をついて、修斗君は別の飲み物を差し出した。


「じゃあ、これは?」


「りんごジュースだ~」


修斗君が差し出したパックのりんごジュースを見て、里穂が笑顔を浮かべる。


もう、彼女の好きなものを用意するこの周到さは、一体なんなんだろうね?


さっき別のジュースを買ったと思ったら、このりんごジュースだったんだ。


ほんと、修斗君ってどんだけ里穂のこと理解してるんだろ。