君の隣~番外編~

しばらく無言の状態が続く。


そして記事を読み終わったのか、スマホの向こうから綾香の大きなため息が聞こえた。


『なんだ、よく読んだらあんたたちバカップルのことじゃない。今までこんな記事出たことなかったから、なんか慌てちゃったじゃん』


「へへっ。この前デートしたんだ~楽しかった~」


『まったくもう。そんなのんきなこと言ってる場合じゃないでしょ。こんなプライベート丸出しの記事書かれて』


「んーでも誰も私だって気づかないよ。私と修斗が付き合ってるの知ってる子は気づくかもだけど。顔写真があるわけじゃないし」


そう言うと、「そういうことじゃないでしょ!」とまた綾香に怒られた。


『てか今里穂、どこにいるの?まさか、修斗君の家?明日休みだし』


「うん。あっ、正確に言うとね、ベッドに寝てる修斗の背中の上だよ」


『はあ~相変わらずバカップルしてるのね。心配して損した。じゃあ、二人で素敵な夜をお過ごしください』


そう言った綾香は、一方的に電話を切った。


「あっ、切られちゃった」


ツーツーと電話が切れたスマホを、ベッドの上に置く。


「電話、終わったのか?」


「うん」