『よく晴れたとある日曜日。サッカー日本代表高木修斗選手が、所属するFCウイングの本拠地にほど近い、大型ショッピングモールでその姿を目撃された。特に変装をすることもなく、ジーンズにポロシャツというラフな格好だ。ここまでなら、なにも記事にすることはない。忙しいサッカー選手とはいえ、こうして買い物に来ることだってあるだろう』
そこまで読んで、綾香は一呼吸置く。
そしてまた続きを読み始めた。
『日本を代表するプレーヤーであることはもちろん、長身でイケメンともあれば、男女関係なく彼のファンは多い。本人はあまり気にしていないようだが、この日も彼には多くの視線が集まっていた。しかし今回は、彼だけに視線が集まっていたわけではない。なんと高木選手、この日は彼女らしき女性を連れていたのである。今まで浮いた話が出てこなかった高木選手。買い物客は、高木選手が女性を連れていたことに、驚きを隠せなかったようだ』
「綾香、それ……」
『ちょっと最後まで聞いて!』
「はいっ!」
途中で口を挟もうとすると綾香に怒られ、私はまた綾香の言葉に耳を傾けた。
『身長は150㎝ちょっとといったところだろうか?笑顔が印象的な、とてもかわいらしい女性である。二人は終始手をつなぎ、とても楽しそうに歩いていた。彼女がいろいろなショップに入るのを、嫌な顔ひとつしないでついて行く高木選手。サッカーをしているときには絶対見せない、とても穏やかな表情をしていた。インテリアショップに入った二人はお皿を何枚か買い、最後に併設されているスーパーに向かった。そこでは彼女が中心となり、肉や野菜、果物から調味料まで、たくさんの買い物をしていた。まるで同棲をしているかのような雰囲気だ。重いものが入った袋は高木選手、軽いものが入った袋は彼女が持ち、しっかりと手をつないで二人は駐車場に消えていった。今後高木選手の口から、この彼女のことを語られる日はくるのだろうか?しかし今回のこの記事で、多くの女性が落胆したに違いない』
どうやらこれで記事は読み終わったらしい。
『ちょっとちょっと里穂!この記事なに?やっぱり修斗君浮気?』
電話の向こうから綾香の興奮したような声が聞こえてきて、思わずスマホを耳から離した。
「もう綾香、ちょっと落ち着いて。それ、多分っていうより、絶対私のこと」
『へっ?』
私の言葉にようやく落ち着いたらしい綾香は、もう一回読むからちょっと待っててと言って静かになった。
そこまで読んで、綾香は一呼吸置く。
そしてまた続きを読み始めた。
『日本を代表するプレーヤーであることはもちろん、長身でイケメンともあれば、男女関係なく彼のファンは多い。本人はあまり気にしていないようだが、この日も彼には多くの視線が集まっていた。しかし今回は、彼だけに視線が集まっていたわけではない。なんと高木選手、この日は彼女らしき女性を連れていたのである。今まで浮いた話が出てこなかった高木選手。買い物客は、高木選手が女性を連れていたことに、驚きを隠せなかったようだ』
「綾香、それ……」
『ちょっと最後まで聞いて!』
「はいっ!」
途中で口を挟もうとすると綾香に怒られ、私はまた綾香の言葉に耳を傾けた。
『身長は150㎝ちょっとといったところだろうか?笑顔が印象的な、とてもかわいらしい女性である。二人は終始手をつなぎ、とても楽しそうに歩いていた。彼女がいろいろなショップに入るのを、嫌な顔ひとつしないでついて行く高木選手。サッカーをしているときには絶対見せない、とても穏やかな表情をしていた。インテリアショップに入った二人はお皿を何枚か買い、最後に併設されているスーパーに向かった。そこでは彼女が中心となり、肉や野菜、果物から調味料まで、たくさんの買い物をしていた。まるで同棲をしているかのような雰囲気だ。重いものが入った袋は高木選手、軽いものが入った袋は彼女が持ち、しっかりと手をつないで二人は駐車場に消えていった。今後高木選手の口から、この彼女のことを語られる日はくるのだろうか?しかし今回のこの記事で、多くの女性が落胆したに違いない』
どうやらこれで記事は読み終わったらしい。
『ちょっとちょっと里穂!この記事なに?やっぱり修斗君浮気?』
電話の向こうから綾香の興奮したような声が聞こえてきて、思わずスマホを耳から離した。
「もう綾香、ちょっと落ち着いて。それ、多分っていうより、絶対私のこと」
『へっ?』
私の言葉にようやく落ち着いたらしい綾香は、もう一回読むからちょっと待っててと言って静かになった。


