「里穂、携帯鳴ってるぞ」


お風呂から出ると、ベッドの上でうつ伏せに寝ながらサッカー雑誌を読んでいた修斗に、そう声をかけられた。


「んー誰?」


私のスマホは修斗が寝ているベッドの上にあったからそう聞くと、雑誌から目を離して確認してくれて、綾香からだってことが分かった。


「電話なんて珍しい。急用かな?」


洗い立ての髪をテーブルの上に置いてあったクリップでまとめて、ベッドに上がる。


スマホの手に取り、うつ伏せで寝ている修斗の上に、私もうつ伏せで乗っかった。


「おい、里穂。急に乗ってくるな」


「だって、くっつきたい気分なんだもん」


私を睨んでくる修斗にそう答えて、電話に出た。


私が離れる気がないことに修斗はため息をついて、雑誌に目を戻す。


それをいいことに、私は修斗の背中の上で綾香と話し出した。


「もしもし、綾香?」


『あっ、里穂!やっと出た!』


「ごめん、ちょうどお風呂入ってて。なにかあったの?」