そう声をかけると、隼斗君はハッとしたように顔を上げた。


「なんでそう思ったの?」


「隼斗君ってよく、兄ちゃんはすごいって言うけど、今の言い方はいつもと違ったから。いつもは、ただ単純にすごいって言ってるけど、今のは自分と比べてるっていうか。それに、なにかイライラしたときって、体動かしたくなるでしょ?」


「へ~里穂姉でも体動かしたくなるんだ」


「もーたしかに私は、イライラしたら体動かすより食べるだけど。てか、そんなことどうでもいいの!」


隼斗君の頭をぐちゃぐちゃとなでると、「やめてよ!」って隼斗君に手を払いのけられた。


「で?なにか話したいことがあれば聞くよ?」


「んー里穂姉って、たまに鋭いよね」


「たまには余計でしょ!」


そう言って隼斗君の頭を軽く小突くと、隼斗君はへへへっと照れたように笑った。


「俺と兄ちゃんを兄弟だって知ってる人はさ、俺と会うたびに修斗君すごいねって言ってくれるんだ。高校でも、いつの間にか俺たちが兄弟だって知れ渡ってて、サッカー部の子たちに兄ちゃんの話題振られてさ。先生はサッカーしないの?って聞かれて」


「うん」


「兄ちゃんの活躍は、すごく嬉しい。本当に尊敬してる。兄ちゃんが俺の兄貴でよかったって思ってる」


「うん」


そこまで言って、「でも」と隼斗君は言葉を切った。