「あれ?隼斗君だ」


リビングの窓から庭をのぞくと、隼斗君が一人でバレーボールで遊んでいた。


さっきまで部屋にいたのになと思いながら、窓を開ける。


現在私は妊娠4カ月、少し前にドイツから日本に戻って来て、修斗の実家でお世話になっていた。


修斗も今はブンデスリーガのウインターブレイクに入っていて、今は日本に戻ってきている。


今日は地元のテレビの収録だって言って、朝から出かけて行った。


「隼斗君、相手しようか?」


「ん?なんだ、里穂姉か。いいよ、里穂姉妊婦だし。バレーなんてさせたら、兄ちゃんに怒られるよ」


そう言って隼斗君はバレーボールを高く上に投げ、それを見事にレシーブ。


ボールはまた高く真上に上がった。


隼斗君は大学を卒業したあと、高校で体育の先生をしている。


実家から通える距離の高校じゃないから普段は一人暮らしをしているけど、今は冬休みで副顧問として見てるバレーボール部もお休み、もちろん授業もないから実家に戻って来ている。


「よし。里穂姉、俺戻るよ」


「じゃあ、なんか温かい飲み物入れようか?」


何回かレシーブを繰り返したあと、私にそう告げた隼斗君にそう言うと、隼斗君は笑顔で頷いた。