俺とサッカーをして、話をして、ちょっとだけスッキリしたのか、「腹減ったから帰ろう」って言って廉は立ち上がった。


「なあ、廉」


「ん?」


「お前今、目標とか夢ってあるの?」


「うん、あるよ」


カバンに使った二枚のタオルを詰めながら、俺の問いに答える廉。


「俺が受け持った部活の子たちを、全国大会に連れて行くこと。全国で優勝すること」


「そっか。なんだ、全然大丈夫じゃん」


「ん?なにが?」


「いや、こっちの話し」


廉の肩をポンっと叩いて、家に向かって歩き出す。


どんなに悩んだって、人と比べて落ち込んだって、その目標があれば大丈夫。


夢や目標は、人を成長させてくれるから。


守ってやらなきゃいけなかった義弟は、いつの間にか大人の道を歩いていた。


きっと廉はこれから、立派な教師になっていくんだろう。