「なんだ、修斗君か。急に声かけられて、ビックリした」


「悪い悪い」


そう謝りながら、廉の足元に転がっていたボールを蹴る。


「あっ、ずるいよ修斗君」


そう言った廉は、すぐに俺からボールを奪おうとしてきた。


「そう簡単には渡さないけど」


小さくそうつぶやいて、廉をクルッとかわしゴールにボールを蹴り込んだ。


「修斗君、今ちょっと本気だったでしょ?」


「まあ、これでも一応プロだし」


「日本を代表するプレーヤーが、なに一応とか言ってんの」


今度は廉がボールを持って、俺がゴールを決めた方とは反対側のゴールに向かってドリブルをしていく。


「おい、いきなり始めるのかよ」


「修斗君だってそうだったじゃん」


「まあそうか」


廉の言葉に少し笑って、ボールを追いかけた。