「いいの?疲れてるんじゃない?」


「それくらい平気です」


「じゃあ、お願いしようかしら。その前にお手洗い借りていい?」


「どうぞ」


修斗君の許可を得て、お手洗いを借りる。


リビングに戻る前、寝室をこっそりとのぞいた。


「いるいる」


ベッドの上にちょこんと座るテディベアを見て、思わず笑みがこぼれる。


「ごめんね、修斗君。記事には使わないから」


ズボンのポケットに入れてあったスマホで、こっそりとベッドを取る。


「うん、いい感じ。会社に帰ったら、修斗君フォルダに入れなきゃ。修斗君が引退したとき、もし自叙伝なんか書くことがあったら、私に手伝わせてもらおう」


きっとそれはまだまだ先のことだろうけど、彼が現役人生を終えるまで、私はきっと取材を続けるだろう。


「お待たせ」


リビングに戻ると、修斗君と田中が楽しそうに談笑していた。


「じゃあ、送りますよ」