「分かった、修斗君。それ、里穂ちゃんのでしょ!」


ずばりそう言うと、これ以上ないくらいに修斗君の顔は真っ赤になった。


「そうなんだ。修斗君ってば、分かりやす~い」


「もう、やめてくださいよ。安藤さん」


そう言って修斗君は、片手で顔を覆う。


「で?で?本当に、里穂ちゃんのなの?」


「そうですよ」


諦めたように、修斗君は話し出す。


「もとは、俺が前にボアシルの練習に参加させてもらったとき、里穂にお土産で買ってったんです。こっちに来る前に、里穂が、私だと思って持っていってって言うから」


「里穂ちゃん、かわいい~てか、なんか大胆!」


「からかわないでくださいよ」


「ふふっ」


修斗君が一番表情を崩すときは、彼女の里穂ちゃんの話をしているとき。


本当に穏やかで、優しくて、たまに顔を真っ赤にして。


サッカーしているときとは全く違う、年相応の男の子の顔。