君の隣~番外編~

里穂の頬に流れる涙をそっと拭い、「歩けるか?」と聞くと首を横に振るから、子供のように抱き上げた。


相変わらず軽い体だなと思いながら、車に連れて行こうと歩き出す。


そのとき、グラウンドとスタンドを仕切るフェンスがガシャっと鳴り、ビックリしてそっちを向いてしまった。


見ると先輩たちが、俺の方を見ながらニヤニヤしてる。


「ハア」


先輩たちの顔を見て、思わずため息が漏れる。


この先輩たち3人は、チームの盛り上げ役というか、イジリ役の人たちだ。


嫌な人たちに見つかったなと思っていると、やっぱり俺をからかってきた。


しかも里穂のことを、「かわいい」とか「ふわふわ」とか言ってくる。


たしかに、里穂はかわいいしふわふわしてるけど、先輩に言われるとなんかムカつく。


しかも写真を撮ろうと、ハーフパンツのポケットからスマホを取り出している。


いつまでもここにいたら里穂を撮られると思い、急いでその場を去った。


先輩たちから離れて、少し立ち止まる。


里穂の泣きすぎて真っ赤になった目をからかうと、俺がいつまでも電話に出ないからだって文句を言われた。


そんな風に言われても、里穂をかわいいと思ってしまう俺って、相当里穂に甘いと思う。