「ああ。点取って帰ってくるから」


「うん」


ゼリーを食べて少し元気を取り戻した里穂を見て、ホッと胸をなで下ろす。


ほんと、世話のかかる彼女だ。


「今度俺が来るまでに、しっかり治しとけよ。そしたら、どっか出掛けてやるから」


「ほんと?約束だよ」


パッと笑顔を咲かせた里穂。


里穂は絶対、俺がこの笑顔に弱いことを知らない。


しばらくしてゼリーを食べ終わった里穂を寝かせ、そっと部屋をあとにした。


次の日、午前練を終え寮に戻った俺はチーム指定のスーツに袖を通した。


アウェーに行くときは、スーツと決まってる。


ネクタイは少し窮屈に感じるけど、スポーツ選手とはいえ社会人。


イヤだとは言ってられない。


寮からでるチームバスに乗り込み、ほんの少しだけネクタイを緩める。


これから30分、新幹線の出ている駅に向かう。