「たく、一体何やってんだよ」


顔を上げると、怒ったような心配したような、なんだか複雑そうな顔をした修斗が立っていた。


シャワーを浴びてすぐに出て来たみたいで、髪はまだ濡れているし、ジャージのハーフパンツにノースリーブのアンダーウェアという格好。


「修斗~」


「はいはい」


私の目線と同じになるようにしゃがみ込んで、流れる涙を手で拭ってくれる。


「で、何がどうなったんだ?」


「鞄から携帯取り出しながら歩いてたら、右足がカクってなって階段から落ちたの」


「バーカ。そんな高いヒール履いてるからだぞ」


「だって、これくらい高いの履かないと、修斗とつり合わないんだもん。ちょっとでも修斗に似合う子になりたいから」


そう言うと、修斗がなぜか勢いよく立ち上がった。


「修斗?」


「いや、何でもない」


軽く咳払いをした修斗は、また私と目線を合わせるようにしてしゃがみ込む。


「触るぞ」