「んー出ない」


10回くらいコールを聞いても、修斗が電話に出る気配がない。


「どうしよ」


諦めて電話を切ろうとしたとき、「もしもし?」と修斗の声が聞こえてきた。


「修斗?」


『ああ、俺だけど。ごめん、今シャワー浴び終わったところ』


「ふぇ、修斗……。助けて」


『は?』


修斗の声を聞いたとたん、安心してもっと涙が出てくる。


「足、折れちゃって……」


『は?泣いてちゃ分からないし。今、どこだよ?』


「まだ練習場」


『分かった。すぐ行く』


そう言って修斗が電話を切る。


それからすぐにパタパタと走ってくる足音がして、私の前でピタッと止まった。