君の隣~番外編~

みんなが帰って一人になったとき、はじめてこの部屋で大きく息を吐ける。


「もう少し頑張ろう」


今日仕事で扱った病気について、ノートにまとめる。


「えっと、診断基準は……」


分からなくなったら、家から持ってきた学生時代に使っていた教科書を開いたり、栄養課で使っている本を見て勉強する。


「そっか、だからそうなるんだ」


仕事中、池谷さんがどんなにわかりやすく説明してくれても、一日中一人の患者さんのことをやってるわけにはいかないし、他の仕事もこなしていかなくてはいけない。


そんな中で知識を深めるには、やっぱり自分で勉強するしかないの。


大学時代先生が、「栄養士は一生勉強していく職業だ」って言っていたのが、働き始めてよくわかった。


「いつか、この仕事が楽しいって思えるときが来るのかな?」


今はまだ、この仕事が楽しいとかやり甲斐があるとか、こうしたいああしたいという目標は思いつかない。


どっちかっていうと、辞めたいなとか、出来ない自分が情けなくて泣いてることが多いけど……。


それでも、もう少しこの仕事をしてみないと、何も分からないって思う自分もいて。


この仕事についてからずっと、いろんな気持ちと格闘する日々だけど。


いつか「これが私の仕事です」って胸を張れることを夢見て、少しずつでも頑張っていこうと思う。






……END