君の隣~番外編~

「修斗のバーカ」


修斗は全く悪くないのに、思わずそんな言葉が出てきてしまう。


羨ましいんだ、私は。


修斗の溢れんばかりに輝くその才能が。


もちろん、修斗がその「才能」だけでサッカー選手として成長しているわけではないことは知っている。


その「才能」を上回る「努力」をしているから、今こうやって活躍出来ているってことを。


「だけどやっぱり、今の私には修斗が眩しいよ」


輝いている修斗が羨ましい。


だけどそれより、サッカー選手として、これからどうしたいかという夢や目標を持てていることが何より羨ましい。


今私は、自分が病院管理栄養士としてどうなっていきたいのか分からない。


夢や目標が思い浮かばないから、この仕事が辛いって思っちゃうのかなって感じることもある。


「うーん、ダメだ。考えれば考えるほど、暗くなっちゃう」


自分の頬をパンパンと叩き、仕事に戻るため席を立った。


午後5時、今日中にやらなくてはいけない仕事を終えて、みんな徐々に帰っていく。


「疲れた……」