「ほら。まだご飯食べてないだろ。食べるぞ」


そう言って里穂を膝から下ろそうとすると、イヤイヤと首を横に振られた。


ああこれはもう、俺から離れるつもりはないな。


しょうがないから里穂を抱いたまま、箸を持ってハンバーグを割る。


「ほら、里穂」


それを里穂に食べさせようと口元に運ぶと、すでに里穂は夢の中だった。


「たく、寝落ちかよ」


しかも俺の服をギュッと握ったまま。


「もう絶対飲まさないからな」


里穂を抱き直して、ハンバーグを口に入れた。


天然小悪魔より、天然酔っ払いの方がよっぽど怖い。


こんな里穂、他の奴には絶対見せれない。


特に男には。


「ほんと、俺のいないところで飲まないでくれよ?」


幸せそうに眠る里穂に、そっと声をかけた。





・・・END