安楽死


私は順位を確認すると、急いで塾を出ようと出入り口に向かった。


「待ちなさい!!」

しかし、受付の前で呼び止められてしまった。


「わ、私ですか?」
その場で立ち止まると、怪しまれない様に笑顔で返事をした。

「そうだ、君しかいないだろう。

今日は一斉模擬試験があるんだぞ。今から、どこに行こうと言うんだ?」


呼び止めた人物は、塾の講師の様だった。しかも、私の方に近付いて来る。

「おや・・・君は誰だ?
見た事のない生徒だが、新しく塾に入ったのか?」


マズイ!!


私は講師の言葉に耳を傾けるふりをしながら、受付をすり抜けて塾の外に飛び出した。

「お、おい君――」



「ふう、危なかった」


塾の外に出て、一息吐いていると背後から声をかけられた。

「あら、里川さん。
ようやく勉強する気になったの?」


この声は──!!