兄は私を見て、ゆっくり首を横に振った。
「分からないんだ。
余りにも高度な組み立てがしてあるから、まだ解読出来ていない。
ただ確かな事は、──作者が何らかの目的で巧妙に韻を絡め、催眠効果がある小説を書いた──という事だ」
「うーん・・・」
つまり、何者かがあの小説を書いて、何かをやらせてるって事?
「まあいずれにしても、相当頭が良くて文章力が無いと書く事は不可能だ。
つまり、お前には書けないって事だな。
はーっはっは!!」
兄は笑いながら立ち上がると、サッサとリビングから出て行った。
悔しいけど、確かに私にはそんな高度な事は出来ない。
でも、もしあのケータイ小説に電車に飛び込ませる様な催眠効果があれば、全ての説明がつく。
いやでも・・・
それだと、もっと犠牲者が出ているハズだ。



