私はリビングのソファーに座り、床に座った兄とテーブルを挟んで向かい合った。

兄はテーブルに肘をつき、自分のスマートフォン持つと、ケータイ小説サイトにアクセスした。


「ほら、この前教えてくれたこの小説な」

「ああ、AYUMIって人が書いた【さようなら】ね」

私は帰宅したばかりで制服のままだったし、早く話を切り上げ様としていた。

「それで、それがどうかしたの?」


面倒臭そうに言うと、兄は身を乗り出して画面を指で差す。

「この小説、妙に読み易くなかったか?」

「うん、テンポが良くて」

「面白い事に、この小説【韻】が踏んであるんだよ。

いやあ、最初に読んだ時に変だと思ったんだよ。余りに読み易かったからなあ」


韻・・・?

私には兄が何の事を言っているのか、全く理解出来ていなかった。


「もっと、分かり易く言ってよ。そんな言い方しても、私に分かる訳ないじゃない」

「うーん、そうだなあ・・・」