――いや、そんなハズはない。
誰かが私の後ろを通った時に、偶然ぶつかっただけ・・・だよね。
「ふう・・・」
私は自分に言い聞かせる様にして、シートにもたれかかった。
シートに背中が着いた瞬間、何かが擦れる様な音がした。
驚いて立ち上がる。
直ぐにシートを見たが、何もない。
「・・・あれ?」
キョロキョロする私の背後から、クスクスと笑い声が聞こえてきた。
な、何?・・・あ!!
背中に手を回して触ってみると、何かが貼り付けてあった。急いでブレザーを脱いで背中を確認する。
「″最後の警告だ次は死ぬぞ!!″
いつの間に、こんな貼り紙が背中に?」
そうか!!
背中を押されたあの時に、この紙を一緒に貼り付けたんだ。
でもあの時は確かに、周囲に不審な人はいなかったのに・・・
私の脳裏に、一度は忘れていた悪霊の姿が浮かんできた。
いや、悪霊なんているハズがない。
これは人間の仕業、犯人の脅しだ。
自分の周囲で感じ始めた危険な気配に、冷静に対処する自信がなくなってきた。