安楽死


私の通う高校は、市内で一応進学校の部類ではある。しかし、有名大学の合格者が出る程のレベルではなく、3年生の私達も気楽なものだ。

「ねえ千里、どっか遊びに行く?」

「うーん・・・今日は朝から電車に閉じ込められたし、気分的に疲れたから帰るよ」

「まあ、確かにねえ・・・」

私達はいつもする寄り道をせず、そのまま駅に向かった。やはり、ほとんど知らないとはいえ、隣のクラスの生徒が自殺したとなれば気は晴れない。


駅に向かう途中、進学塾の前を通り掛かかると、塾の前に座り込んでスマートフォンを睨んでいる男子生徒が目に入った。

同じクラスの田中だ。

いつもスマートフォンをイジっている、見るからにオタク系のキモイな男子生徒だ。

「ゲームサイトのチャンピオンなんだ!!」なんて威張ってたが、そんな時間があれば、少しでも勉強した方が良いと思う。


私達は塾などに通っているはずもなく、当然の様に素通りする。大学は、行けるところにいく予定。

「千里、向こうからイヤなヤツが来るよ」

「あ・・・き、気付かないフリをして通り過ぎれば、大多分丈夫よ!!・・・多分」