安楽死


私達は3年生の教室がある新館から、2年生の教室がある旧館に小走りで向かう。渡り廊下を通り旧館に入ると、階段を使って2階に上がった。

「1組だからここよ」

2階の一番奥にある教室の前に着くと、牧野さんが中を覗き込んだ。


「うーん・・・」

その後輩の姿が見えないのか、しきりに周囲を気にしている。

「いないの?」

「おかしいな・・・」

焦り始める牧野さんの背後から、名前を呼ぶ可愛らしい声が聞こえた。

「牧野先輩?」

私達はその声に、2人同時に振り返った。
そこにはショートカットの、典型的な運動部系らしい女子生徒が立っていた。


その後輩を廊下に連れ出し、牧野さんが真顔で切り出した。

「時間が無いから、手短に言うね。
この人は、同じクラスの里川さん。最後の事故で、親友が重体になってる。私達と同じ様に、今回の事故が納得できない人の1人よ。

独自に調査しているみたいだから、協力してくれないかな」