安楽死


「こ、これって!?」

私はそのメールを見て、思わず顔を上げて牧野さんを見た。すると、彼女が力強く頷いた。

「これを見ても、記録が伸び悩んでいて自殺したと思う?」

「い、いいえ・・・」

私は大きく首を横に振る。
全く違う。
明らかに、噂の内容とは一致していない!!

「でも・・・このメールだけでは、信憑性が低いって。警察の人がそう言ったのよ」


彼女は一度壁に掛かった時計に目をやり、時間を確認した。そして、直ぐ視線を私に移す。

「まだ時間あるから、あの子が一番仲良くしてた後輩を紹介してあげる。直接聞けば、もっとよく分かるハズよ」

2年生の後輩に会わせてくれるという申し出。
願ってもいない展開に、私は喜んで会いに行く事にした。


「あまり遅くなると話す時間が無くなるから、直ぐに行きましょう」

私はコクリと頷くと、彼女と一緒に教室の扉に向かって歩き始めた。

「よう、何か変わった組み合わせだなあ。
どこに行くんだ?」

教室に入って来た長谷部が、ヘラヘラと笑いながら声を掛けてきた。

「2年生の教室よ」

「ふーん・・・」

牧野さんが答えると、長谷部は口許にイヤな笑みを浮かべながら通り過ぎた。