ふと顔を上げると、興味津々のクラスメート達が聞き耳を立てている。
「ちょっと・・・」
私達は黒板の前から場所を移動し、誰もいない窓際の後方で話しを始めた。
「あの噂では・・・
大場さんは記録が伸び悩んでいて、それを苦に自殺した──と、なっていたけど」
私は前振りも無く、いきなり本題に入る。
周囲の状況を考えると、手短に話を切り上げた方が良さそうだったからだ。
私の思惑を察したのか、彼女もダイレクトに答える。
「あの子とは仲が良かったから、私が引退した後も部活の事をよくメールしてきてたの。
の事故の前日、大場さんからこんなメールが届いてるのよ・・・」
彼女は自分のスマートフォンをスカートのポケットから取り出し、私に画面を見せる。
そこには、保存してある大場さんからのメールが表示されていた。
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やりました!!
ついにスランプ脱出です。自己記録を20センチもオーバーしましたよ!!
これなら、インターハイで走り幅跳びの優勝も夢ではありません !!



