安楽死


翌日――

私は昼の休憩時間に、クラスメートの牧野さんに声を掛けた。同じクラスではあるがグループが違うため、今までほとんど話しをした事がない。


「牧野さん、少し時間良いかな?」

全く交流がない私に声を掛けられ、彼女は少し驚いた表情を見せた。

「良いけど・・・何?」

「牧野さんって、確か陸上部だったよね?
後輩の、大場って子の話を聞きたいんだけど」


大場という名前を出した瞬間、牧野さんの表情が急に険しくなった。自然と口調も厳しくなる。

「興味本位なら、話す事なんて何も無いわよ」

警戒心を顕にした返事に、私は慌てて説明する。それはそうだ。私も愛美の事を聞かれれば、同じ様な反応をするに違いない。


愛美の件も含め、全ての飛び込み自殺が本当は違うのではないかと。そう思い調べている事・・・

そして、自分が調べている最後の1人が大場さんだと言う事を、牧野さんに伝えた。


私の話を最後まで聞くと、彼女は大きくため息を吐いた。

「ふう・・・分かったわ。私が知っている事は、何でも話してあげる」


私は早速、あの時期に急速に広まった噂について尋ねた。