コソコソと男子生徒が話していた内容は、放課後になると既に全校生徒に広がっていた。
「驚いたよねえ・・・」
「うん、全然そんな感じに見えなかったし・・・ね」
今朝の人身事故は、驚いたことに隣りのクラスの女子生徒が当事者だった。事故直後は意識不明の重体だったが、昼過ぎに息を引き取ったらしい・・・
「ちょっと、そこをどいてくれないかな?」
扉の前で話をしていた私達に、同じクラスの男子生徒が強い口調で言った。
「あ、ゴメン!!」
声の主はクラスメートの岸本だった。
私達は岸本が通れる様に、慌てて廊下に出た。
廊下を歩いて行く彼の後ろ姿を見て、愛美が舌を出しながら言った。
「岸本って、何か暗いヤツだよね」
「確かに・・・でも、入院してる妹を看病するために、毎日病院に通ってるらしいよ」
「ふーん・・・まあいーや。そろそろ私達も帰ろうよ」
私達は教室のある2階から階段を下り、足早に校舎の外に出た。



