呼び止めたものの、私は話をどう切り出すか全く考えていなかった。彼女は私を眺めていたが、背を向けて再び歩き始めた。
「わ、私・・・自殺とは思っていないの!!」
その言葉に彼女は敏感に反応し、振り向いて私を睨み付ける。しかし、それでも私は話しを続けなければならない。
「私の親友も・・・
金曜日に、同じ踏切りで・・・私の目の前で電車に飛び込んだの。でも、どうしても自殺には思えなくて。
私は親友の為にも真実を知りたい。
中川さんお願い。私に協力して!!」
私が話しをしている間、彼女は私の目をジッと見詰めたまま瞬きすらしなかった。
しかし──
次の瞬間、突然大粒の涙が彼女の目から溢れた。アスファルトの上に、ポタポタと落ちていく。
「わ、私に・・・
みんなが萌は・・・じ、自殺したって、そう言うの・・・でもね・・・私にはどうしても・・・どうしてもそう思えなくて・・・」
彼女は帰宅する生徒の好奇な視線を浴びながらも、そのまま暫く泣き続けた。



