「あ、ごめん。千里には関係ないよね・・・」

「いいよ、別に」

友梨は左手を私の肩に置き、周囲から気付かれない様に窓際の女子生徒を指差した。

「あの子が、竹井さんと一番仲良かった中川さん。あの日以ずっと来学校を休んでいたけど、昨日から登校してる」

友梨の指先には、ぼんやりと外を見ているショートカットの女子生徒の姿があった。

「千里・・・愛美は大丈夫なんでしょ?」

「うん・・・」

「早く退院できれば良いね」


私は友梨と別れた後、振り返ってもう一度中川さんを確認し、顔をしっかり覚えた。

今ここで話を聞く訳にもいかないし、放課後1人きりになった時に声を掛ければ良い。


ハッキリした事がある。

あの噂が全てデタラメだという事だ。
間違いない。
何者かが皆を惑わせている。