隣りのクラスの入口から教室の中を覗いていると、不意に背後から肩を叩かれた。
「千里、何してるの?」
「あ、友梨!!」
驚いて振り向くと、そこには2年生の時に同じクラスだった友梨が立っていた。
「あ、あのね・・・この前亡くなった竹井さんの事なんだけど――」
そう切り出すと、急に友梨の表情が険しくなった。視線を逸らし、絞り出す様に呟く。
「イジメなんてある訳ないのに・・・」
「え?」
「イジメなんて無かったんだって!!」
「な、何が、どうしたの?」
私がキョトンとしていると、友梨はバツが悪そうに頭を掻いた。
「知らないの・・・?
イジメられてたっていうな噂のために、クラス全員に個別面談があったのよ。ホントに迷惑な話よ。
竹井さんの親は、この学校のPTA会長よ。わざわざそんな子を狙うハズがないし、そもそもイジメられて黙ってる様な人じゃなかったし」
噂とは随分と話が違う。
噂が意図的に歪められてるって事なの?