安楽死


彼女は三春学園高校の生徒で、亡くなった女子高生の親友だった。

事故当時一緒にはいなかったが、私と同じ様に、とても自殺したとは思えないらしい。

事故の後、成績の低下を苦にしての自殺という噂が流れたが、全くそんな事はなかったらしい。確かに希望する大学の推薦はしてもらえなかったものの、普通に受験すれば問題無く合格するレベルにあったという事だ。


「でもどうして、こんな夜遅く線路を歩き回ってるの?幽霊だって噂になってるよ」

私の質問に、彼女は涙を拭きながら答えた。

「・・・うん。あの事故の後、スマートフォンは見付かったんだけどストラップが外れてて・・・

そのストラップは、2人で一緒に買ったお揃いなの。だから・・・だからね、私のスマートフォンに一緒に付けようと思って・・」

そこまで話すと、彼女の両目から再び大粒の涙がポロポロと零れ始めた。


その後、彼女が落ち着くまで待ち、私達はメールアドレスを交換して別れた。

悪霊はいない。

悪霊はいないし、自殺でもない・・・