田中は昨日の夜、同じ時刻に、この女子高生を見たという事になる。つまり、少なくとも昨日と今日の2日間探し物をしているという事だ。

こんな人身事故が連続で起きたような・・・しかも3人も亡くなった場所で?


私は意を決して真っ暗な線路内に入って行き、再び女子高生に声を掛けた。

「もしかして・・・
あなたは、先日起きた事故の関係者なの?」

女子高生はその言葉に即座に反応し、その場で勢い良く振り返った。

やはり・・・


「先週の金曜日、ここで電車に飛び込んだのは私の親友なの・・・」

私の言葉に、女子高生は踏切りの真ん中辺りから、ゆっくりとこちらに向かって歩いて来た。

そして、私の顔をジッと見詰めると、今にも溢れそうな涙を懸命に我慢しながら言った。

「2回目の事故で亡くなったのは、私の親友なの・・・」

女子高生は言い終えた瞬間、張り詰めていた糸が切れた様に泣き崩れた。


ただでさえ親友を亡くして落ち込んでいるのに、興味本位で噂話を流されて精神的に追い込まれていたのだろう。

その気持ちが、私には痛い程分かる・・・