「痛いっ!!」
突然、白い服の女の子が声を出したのだ。
しかも、明らかに普通の声で「痛い」と――
兄も一緒にいるし、私は勇気を振り絞って踏切りまで出て行き、思い切って声を掛けた。
「あなた、何をやっているの!!」
女の子は突然現れた私に驚いて、足を押さえながら慌てて振り向いた。
よく見るとその悪霊は、女子高生が制服の上からパールカラーのジャンパーを羽織っているだけだった。
「何って・・・友達の落とし物を探してるだけなんだけど?」
その女の子は私に返事をすると、再び車道脇の線路をヨタヨタと歩き始めた。
あのスカート・・・グレーのチェック柄というと、三春学園高校の制服で間違いない。
何だ・・・
悪霊ではなく、本物の高校生だったのか。
でも、ガッカリだ。
悪霊である事を願っていた私は、力無く苦笑いするしかなかった。しかし、同時に1つの疑問を抱いた。



