その白い影はスーっと滑る様に動き、線路の真ん中に止まった。

「マジかよ・・・」

呆然とその姿を見詰めている兄を横目に、私は静かに車のドアを開けて外に出た。古物屋の看板に身を隠しながら、白い影にグッと近付く。


田中が言った通り、確かに白い服を着た女の子だ。でも本当に、踏切りの事故で亡くなった霊なのだろうか?

古本屋の店主は、これまでに踏切り事故なんて一度もありはしなかったと言った。

それでは、あの子は一体・・・


白い服を着た女の子は、踏切り内を通過する車道を外れフワリと線路に下りた。そして線路に敷いてある砂利の上を、何度も行ったり来たりする。

その姿は悪霊と言うよりも、浮遊霊と呼んだ方が正しいかも知れない。フワフワと線路付近を移動している。


その光景を5分ばかり隠れて見ていると、目の前で奇妙な事が起きた・・・