22時過ぎ――

両親には「参考書を買う為に本屋に連れて行ってもらう」と言う事にして、私は兄と共に踏切りに向かった。

この位の時間帯に自宅を出れば、田中が見たと言う22時半頃に到着するハズだ。


私は悪霊との対決を前に、喉がカラカラに渇いていた。オーバーではなく、上下の唇が貼り付きそうな程だった。

「ほら、これでも飲んで落ち着けよ」

そんな私を見かねて、道端にある自動販売機で兄がミルクティを買ってくれた。

「あ、ありがと」

私は熱い缶を両手で持つとプルに人差し指を引っ掛ける。そして缶を開け、ゴクゴクと喉に流し込んだ。緊張の余り熱さも感じない。


私達が目的地である踏切りに到着したのは、22時25分だった。

既に閉店している古物屋の前に停車し、車内から踏切りの様子をうかがう。

「何も見えないな」

「うん・・・やっぱり、簡単には会えないか」

「まあ、根本的に何かの見間違いっていう事も考えられるしな」


兄がそう口にした時、踏切りの反対側にフッと白い影が浮かび上がった!!