あ、悪霊――!?

私は後ろの机が倒れる程の勢いで立ち上がり、田中の方に顔を向けた。そして、そのままの勢いでクラスメート達が集まっている田中の席に向かった。

この時の私は鬼の様な形相だったのだろう。私の進む方向、田中に向かって1本の道が出来た。


バンッ──!!
と机に両手を思い切り叩き付け、田中を睨み付ける様に言う。

「その話、詳しく聞かせてくれる?」

田中は私の剣幕にタジタジになり、悪霊の話しをもう一度最初から始めた。


「昨日の、いつも塾が終わる午後10時半頃。帰宅する為に、例の踏切りを通ろうとしたんだ。そこで見たんだよ。

少し離れた所からも、何となく白い影が踏切りの所にある様な気がしてはいたんだけど・・・
ゲームをしながら自転車に乗っていたから、そっちに夢中で、そんなに気にしなかったんだ。

そして、気が付いた時にはもう踏切りに着いていてさ。顔を上げて見てみると、線路の真ん中に白い服を着た女の子が立っていたんだ。

そいつが、こっちに向いて、手招きをしたんだよ!!」


田中の表情を見る限り、とても演技だとは思えなかった。悪霊の話しは本当だ。

悪霊がいる?