はあ・・・
もう、一体いつになったら動くのだろう?

窓の外にある黄色い看板も、人気俳優が手にしたスポーツドリンクも、夢に出るくらい覚えた。愛美はスマートフォンばかりイジって、全然相手をしてくれないし・・・


その時、不意にガタンと電車が揺れた。

きた――!!

ガタゴトと振動が続き、ついに電車がゆっくりと動き始めた。


「愛美、動き始めたよ!!」

振り返って愛美を見ると、周囲の乗客に見守られながら号泣中だった。


停車していたのは、1時間程だっただろうか?
既に思い切り遅刻しているけど、理由はハッキリしているし今日は許してもらえるだろう。

窓の外を眺めていると、三春駅直前の大きい踏切りにパトカーが数台停まり、赤い回転灯をグルグルと回していた。

事故があったのは、あの踏切りらしい。


〈・・・――次は三春駅です――・・・〉


三春駅は電車を待っていた人達と降りる人達とで、前に進めないほど混雑していた。

この駅は三春市の中心で、朝夕のラッシュ時はただでさえ混雑する。それなのに、事故で到着が遅れれば尚更だ。


「愛美、早く早く。いい加減スマートフォンおさめなさいよ!!」

「う、うん」